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報復 壱 
「圭吾、大丈夫よ」
果菜の声が眠りを妨げる。
「許してくれよ・・・」
 果菜は死んだ。
 本当に死んだのか?俺が殺した・・・
あの夜から、果菜がバスタブで血だらけになって死んで行った夜から、俺は眠りを奪われた。

 奪われた眠りは復活しない。夜中の静寂の中で俺は背中に何かを感じる。部屋には誰もいない。肩先が重くなる。果菜が、そっと触れている気がする。だけど、矢張り俺はまんじりともしないで、ベッドに横たわったままだ。俺はたった一人でベッドに寝ている。果菜を抱いたこのベッドで。

 果菜との思い出など「無」に等しい。最後のメールだけが唯一の思い出になるだろうか。果菜と俺の関係の証だ。
 果菜とのことは、もう思い出になる事もない。俺の果菜への気持ちは進行形だ。なのに、果菜はいない。果菜が存在しないという現実だけが、残っている。


 果菜に「邪魔、消えてくれ。俺の前からいなくなってくれ」と言ったことがある。
ほんの少しだけ悲しそうに笑うと
「そうね。圭吾が、望んでるなら消えるのも悪くないかも」
呟いた。
 果菜は、多分、きっとその時に死のうと考えていただろう。
俺のことをいつも想っていてくれたのに。それが、時々苦しくなった。ひたむきであればあるほど、果菜が疎ましくなった。そして、こいつはいつまでも俺のことを想い続ける、だから、何をしても、ほったらかしにしても、邪険に扱っても大丈夫だ。確信していた。


 小糠雨が冷たい夜だった。静か過ぎる音が響いた。
何かに急き立てられタクシーを探した。果菜に逢わなくてはいけない。そんな義務感があった。
良心の呵責か?
 果菜からのメールが胸につかえていた。
「大丈夫。圭吾は大丈夫。苦しくても乗り越えられる。私は、もうムリみたい」
 その時の俺は、忙しすぎた。毎日が慌しく終わり、仕事だけの日々だった。
仕事帰りのグッタリしている時に、そのメールが届いた。
俺は、そんな果菜に苛立った。果菜の何もかもがイヤだった。ムカついた。
果菜の存在を忘れようとした。実際、仕事三昧の日々に果菜の事を想う余裕などなかった。




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