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バカな女 
あの日は、朝から眩暈と頭痛に悩まされてた。
頭がガンガンする。身体が重たい。
やっと、愁に逢えるのに。
3週間ぶりのデイト。どんな顔して逢えばイイの?うれしい。
いつも会ってるのに、デイトの時は違う愁に逢える。
職場では、誰も私と愁が付き合っているって知らない。

愁は、みんなから怖い存在だと思われているけど、本当は優しい人。
私は、知ってる。
愁が、メーカーから戻る途中にいる野良猫にご飯をあげている事を。
それを見つけた私に、子供みたいに口に人差し指を当てて「ナイショ」って言った。
展示場のブースに、迷子になった小学生を連れてきて、一緒になって親を探しに行った事も。
その時も「誰にも言うなよ。言ったら殴るからな」と笑いながら言われた。

普段の愁はもの凄く怖い。すぐにキレる。客先とはケンカする。
でも、仕事はできるから、課長も黙認してる。
遅刻も頻繁。事務の私は、勤怠票の誤魔化しをいつもしてる。

私の知ってる愁は優しい。
仕事してる時とは全然違う。
食事の時も、ちゃんとエスコートしてくれる。
とっても気遣いができるし、歩く時手を繋いでくれる。
エッチする時も優しい。私がイヤがることはしないし。私が、余りエッチは好きじゃないから。
キスしてくれたり、腕枕してくれる方が好い。
でも、時々私はガマンしちゃう。したくなくても、愁がしたいって言ったら、する。
愁も、きっとガマンしてるんだろうな、って思うから。

ちょっと我儘なところもある。デイトの遅刻は絶対に許してくれない。
これは当たり前だと私も思う。
でも、怒り方が尋常じゃない。30分近く怒鳴られる。
さすがに殴ることはないけど、私は恐ろしくて身体が動かなくなる。

だから、怒られるのが怖いし、愁にも逢いたかったから出掛けた。
電車に乗ったら、悪寒もしてきた。
でも、帰れない。とにかく時間は守らなくちゃ。それしか頭になかった。

眼の前が黒っぽくなって、周りがグニャリとなり始めたと思ったら、ぶっ倒れた。
その後は覚えてない。
気付いたら、病院のベッドの中。腕には点滴の針が刺さってた。
40度近い熱があり、気管支炎の寸前だった。
愁が病室の扉に身体を預けて、腕組みして立ってた。私が気付いたのがわかると寄って来た。

「バカじゃん、なんで高熱なのに来るの?」
「逢いたかったし、それに・・・」
愁が怒るから、とは言えなかった。
「お前の事なんて、俺、好きじゃないよ。勘違いするなよ」
「え?」
「何かさ、フツー過ぎて彼氏とかできなさそうだし、可哀想だから付き合ってただけ」
何で、そんな事言うの?頭が痛くて、よくわからない。横になっているのにクラクラする。
身体が動かせない。愁が怖い。好きなのに怖くて怖くて、何も言えない。
「それに、ウザいよ。お前って自分てもの持ってないじゃん。最悪だよな。
男の事しか考えられないなんなんて。ブスだし、スタイル悪いし、頭もよくないだろ?
そんな女と俺が真面目に付き合うと思ってるの?ホント、ばっかだよな。
男に入れ込んでぶっ倒れて、いい迷惑」

もう、何が何だか分からない。誰か、助けて。私、愁がいないとダメ。愁しかいないのに。
どうして、こんなに意地悪な事ばかり言われなくちゃいけないの?
私って、そんなにバカなの?愁が好きだから、愁に嫌われたくないから、一生懸命だったのに。
愁と別れるなんて考えられない。そんなの耐えられない。私のことそんなに嫌いだったの?
なんでなの、ねえ、誰か教えて。

「お前、すぐ泣くだろ。他の女なら可愛げもあるけど、ブスが泣いたら余計にブスになるだけだよ。
感度も悪いしさ、お前とするのも飽きてきたとこだから、丁度いいや。もう逢わないぞ。
それにさ、バカだから気付かなかったんだろうけど、俺はちゃんとした彼女いるんだよ」

そんな事、ここで言わなくてもいいじゃない。彼女いるのに、なんで私とエッチしてるの?
彼女の事好きなんでしょ?彼女が可哀想じゃない。
愁も同じなの?他の人と一緒で、私の事ボロキレみたいに捨てるの?
愁は違うと思ってたのに。愁だけは、分かってくれてると思ってたのに・・・

私は愁の事、優しいと信じてたし、本当に好きだった。好きで好きで、自分でもどうして
良いのか分からない程だった。愁がいなくなったら、自分の人生は終わりだと思っていた。
でも、私と愁の関係は何だったの?変なの。私ってホントのバカだ。お人好しすぎた。
身も心も擦り切れた気がして仕方なかった。辛くて、毎日疲れ果てるまで仕事して、疲
れ切った。

何だか、周りのものが歪んでみえた。悔しくて悲しくて、でも涙は出なかった。
愁の事を憎む気力さえ残っていなかった。
生きている事が不思議でならない。悲しくても涙も出ない。何もかもがイヤで、何処かへ
逃げ出したい。
それなのに、こころが叫んでいるのに、砂漠のように乾いているのに、普通に生活をして
いる。
お腹が空く。食事をする。それが一番疎ましかった。自分を呪い殺したい。
いつも胃がキリキリ痛くて、激しい眩暈と頭痛に苦しんだ。
何年経っても、私は愁に言われた事を忘れられない。愁の顔は思い出せなくなっている
のに、あの時に言われた言葉は、今も私を苦しめている。

だから、私はもうバカな事はしないと、自分に誓った。
周りが彼氏の話で浮かれていても、結婚すると案内状がきても、結婚しました葉書が届
いても、家族が増えましたの楽しそうな写真付きの葉書も、全て無視した。
これからの私には無縁な事だから。
私は全てなくして、裸のまま凍った海に突き落とされた。
私のこころを温めてくれる人も、物も、事も何もない。
恋なんてしない。愛なんて信じない。男なんて、もう二度といらない。

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