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神よ ご加護を その4 
一度だけ、夢の中で彩ちゃんが話しかけてきた。「あおいちゃん」と子供の時の声で言い、哀しげに微笑んだ。
彩ちゃんは、私に気付いていた!そうに直感した。夢の中の彩ちゃんは笑っていた。
私は、私は何て愚かな事をしたの!
私の精神は不安定になった。桐ちゃんも怖かった。桐ちゃんの後ろに彩ちゃんがいるような気がしてならなかった。
何かに縋りたかった。誰でもいい。何でもいい。私を楽にして欲しい。

私はこっそり、県外の全寮制のキリスト教の高校を探し出した。ここならば私は安心できるかもしれない。
一抹の期待があった。全てを捨てて、世捨て人になり、神様に人生を捧げようと思った。
ここから離れれば楽になれるという、いけない気持ちもあった。

もちろん、パパは大反対だった。そんなことをしたら、パパは会社にいられないかもしれない。結局、私の事よりも自分の地位の方が大切だったのだろう。
毎晩、パパを説得して、大喧嘩になり殴られた。初めてだった。パパはいつも私には優しかったから。我儘も許してくれた。
殴られても、私の気持ちは全く揺らがなかった。普段は何も言わないママが、応援してくれた。
ママもパパに殴られた。お兄ちゃんは、何が起きているのか理解できずに、いつも喧嘩が始まると、自分の部屋へ逃げてしまった。
担任の先生も交えた話し合いで、最終的に私の希望は叶った。願書を取り寄せて、必死に勉強した。

桐ちゃんに話したら、凄く驚いて「なんで同じ高校受験しないの?一緒にいられなくなる」と泣いてくれた。けど、桐ちゃんは何となく様子が変わった。今までみたいに執拗に、私の高校受験の話をすることはなかった。

12月の初旬の、雪でも降るんじゃないかと思うくらいに寒い日、桐ちゃんは学校へ出てきた。
制服に着られているみたいだった。痩せてて俯いて、でも目つきだけが鋭かった。
無言で、自分の机に着いて、教室の中を見渡した。
桐ちゃんが登校した朝、クラス中が「あっ!」って驚いて、ひそひそと話す子達がいた。
その時、突然桐ちゃんは立ち上がって、鞄を机に叩き付けた。
「お前たち、言いたい事あるんなら、はっきり言えよ!」
そうに怒鳴った。誰もが硬直したようになった。私は全身から血の気が引いていくのがわかった。
桐ちゃんじゃない。桐ちゃんは別人になった。大人しくて人前で喋るのも苦手だったのに。

桐ちゃんは、教室の掲示板の前で固まってる男子の集団に近付いて行った。
止めて、桐ちゃん止めて。声が出なかった。
「はっきり言えってのが聞こえないの?お前らアホだろ。はっきり言えよ!」
「あ、あの・・・」
余りの迫力にたじたじになってる男子。それを蔑んで嘲るような視線を向ける桐ちゃん。
更に、その中の一人の胸ぐらを掴んだ。
周囲からざわめきが起きた。今度は、そちらの方向へ桐ちゃんが睨んだ。感情の無い冷たい視線。
その日から、誰一人、桐ちゃんの事を口にする子はいなくなった。
私も、何となく桐ちゃんと距離をおくようになった。桐ちゃんは、私とは今までと同じように接してくれたけど。

毎日、死に物狂いで勉強した。睡眠時間は、2時間とかしかなかった。そして受験勉強の他に聖書も読み始めた。
創世記、出エジプト記は読んだけど、難しかった。申命記とかヨシュア記は少し目を通しただけ。新約聖書は、マタイのよる福音書、使徒行伝、ローマ人への手紙。それにヨハネの黙示録。
キリストを裏切った、ユダの手紙も読みたかったけど、この時は時間がなかった。

私は、教会へも通ったことがなかった。だから、時間を作って、日曜日には教会へも通った。
多分、毎日ゲッソリしてただろう。けど、何かしていないとおかしくなりそうだった。

「神に祈る事により、すでに救われている」牧師さんがそうに話していた。
人間は罪を犯す生き物。だから、その罪を告白し神に祈る。そうすれば、必ず天国へ行ける。
貧富の差も、年齢も性別も国籍も関係ない。どんな罪を犯したものでも、赦してくれる。
涙が止まらなかった。神様に赦して欲しかった。誰にも言えない。牧師さんにも話せない。
牧師さんは「話す必要などないのです。既に神はその事をご存知なのですから」と言ってくれた。
この時に、クリスチャンになろう、と決心した。辛くても大変でも、私は、クリスチャンになって、神にお仕えする。そう心に決めた。


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